洞察や行動への課題を得る機会。
アンドレアス・シュナイダー Andreas Schneider デザイナー / ドイツ、日本在住
会議のテーマ「VISUALOGUE-情報の美 (VISUALOGUE: quality of information)」から、何をイメージされますか?

特定の関心を持つグループの課題を支えるために、情報を生成・加工・投げかける手段は、これまでになく力を得ています。同時に、マスメディアが提供する情報のクオリティは本当に低い。無意味なディテールの積み重ねは、単に注意を散漫にし、混乱をもたらすだけです。クオリティには参加と責任が伴います。
イメージ:リモコンで行う空爆や暗殺、遺伝子的にクリーンな世界という先見の明のない約束…。

あなたの活動における最近のテーマ、あるいは最近のあなたの中にある「問い」は何ですか?

混乱の原因と、酔いを覚まし我々を力づける方法。「素材」の役割に注意を払い熟考することは、手がかりとなるでしょう。デジタル及びバーチャルな世界の思いがけない魅力は、肉体的な素材のみならず我々の理性的な素材もが関係性から発展したもので、大きなコンテクストから解放され、さらに大きなコンテクストに適合する可能性があることを我々に忘れさせてしまいます。また、説明できる共有可能な経験を通じて私たちの理解を深める方法論やツールの探求にも興味があります。

今回の会議に対し、どのような期待をお持ちですか?または、どのような成果がもたらされることを期待しますか?

私たちの一意専心をスケジュールされたイベントから解放し、思いがけない出会いや発想へとそらすことを許容するようなリラックスした環境。会議で重要なのは人です。また、洞察する機会や、行動を起こす機会にも遭遇したいと思います。

会議に参加するデザインを学ぶ学生や若いデザイナーへのメッセージ

この質問は自分が老けたような気になりますね! 何かメッセージがあるとすれば、自分自身に投げかけたいと思います。
・形式主義的な美の誘惑に負けない。
・レベルの高い問題が未解決のまま、ディテールの問題を解決することに満足しない。
・より魅力あるチャレンジを避けるために妥協しない。
・与えられた選択肢から選ぶのではなく、目的に基づいて意思決定する。
・「デザイン」から離れた領域に踏み込むことになるとしても、自分の好奇心に従うこと。
・制約を、新しいチャンスへの引き金と捉える。

クライアントに対し、これまでどのようなパートナーシップをとられてきました か?また/あるいは、今後どのような関係を築きたいとお考えですか?

残念ながら、職人としてのデザイナーのイメージが未だに根強いのが現状です。しかし、それは多くの場合私たち自身にも責任があります。私たちは、常識の範囲を超え、美意識に基づいた論理を深める心地よさを優先してしまいがちです。「デザイン」が作者、ディストリビューター、ユーザーの調停によって作られるものであると理解されるよう、共通した言語があれば素晴らしいと思います。

地域/文化的衝突、世界的な不況など課題の多い現代社会に対し、デザイナーはどのように貢献できるとお考えですか?

課題は、経済的なものだけでなく、エコロジー的なものにも及ぶと思います。前者はルールの合理化や実践に関わることですが、後者は私たちのアイデンティティや取り組みを問います。両方とも、個々の家事のような比較的身近な問題から、宇宙のようなより複雑な環境までの広範囲を網羅します。情報デザインの使命の一つには、これらの内部的な働きを明るみに出すことです。解決への第一歩は、問題の認識・コミュニケーションを明確にすることです。

これからの社会におけるデザイナーという職能の意義と可能性をどのようにお考えですか? デザイナーの核となる資格は見直されなければなりません。デザイナーは、ローカル及びグローバル両方のコミュニティと同等に交流する能力を持つべきです。それには高度な社会・文化的能力を要します。また、デザイナーは経営的・ビジネス的・法的問題にもうまく対応することが求められています。科学技術の進歩は、私たちの10年、50年、100年といった先の問題をも先手を打って処理する能力を試しているのです。確実に、新しい教育モデルの検討が必要です。